人造・天然に限らず購入したての砥石だからといって、きちんと精度良く平面の出た砥石にはお目にかかる事も少ない。 購入する機会があれば一度チェックしてみてはいかがだろう。 砥石も使えば当然減ってくるのですが、なかなか真っすぐ均等には減ってくれない(笑) そこで研ぎ面を真っすぐ平面に擦り減らす作業が必要になってくる。 真っすぐに刃物を研ぐためにはまず精度の良い平面を出しておきたい。 歪んだ砥石で平面に研げるとすれば、もはや達人クラスだ。 ここではそんな砥石の平面調整について考えたい。 まさに、机上の空論だらけですので、そこんとこ宜しく! |
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大きく歪んだ砥石の調整 | |
本来は小まめに平面調整をして大きく歪む事は避けたいが、もしかすると頂き物が歪んでたとか、天然砥石の層が剥離したなんて事もある?かもしれない。 強烈に歪んだ物などは、さすがに機械の手を借りるかタガネなどでおおよそ調整してからでないと、非常にに大変な労力となってしまいますが、まずここでは一般的で低コストなコンクリートブロックと砂による調整法を掲載しておきます。 作業場が汚れるので作業場所を考慮する必要があります。 道路やベランダではやらない方がいいと思いますよ(笑) |
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まずはコンクリートブロックにひと掴みほどの砂を撒いて、全体が塗れる程度に水をかけます。 砂がブロックから流れ出そうなほどにシャブシャブにかけないでくださいね。 |
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最初から思い切り前後して擦り合わせると、粗い砂が全部ブロックの外に追いやられ研削力が落ちますので、なるべく砂が外へ落ちないように加減したり真ん中に集めたりしながら擦ります。 まだ砥石が歪んでいるにも関わらず粗い砂が全部落ちてしまったら、また最初のように砂と水を足してください。 砥石の研削面を見て全体が平らになりきる少し前に、ストロークを大きくして徐々に粗い砂だけを追い出していきます。 残った細かい砂(これは落とし過ぎないように)の砥汁で力を入れすぎず軽めに擦って仕上げると、意外と細かい傷でしあがります。 ここでは精密な平面ではなく、大体で良いと思います。 |
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定規の見方について | |
砥石の縦横ともに中心線に当て、プラス対角線に当てて砥石との隙間の光の漏れ具合をチェックするのですが、ある程度の誤差の範囲だと、水を含んだ砥石は目で光の漏れ具合がチェックできない。 そこで先ほどの規定の位置に定規を軽く砥石に押し当て、左右に揺すったり、真ん中を中心に円を描くように動かすなどして、感覚で確かめる事になります。 真ん中が高い場合はカタついたり中心を軸にクルリと定規が回るので分かりやすいです。端が高いのもそれなりに分かりますが、問題はごく僅かに両端が高い場合と平面の区別です。 ここでは共擦りする両方の砥石に定規をあて、砥石に縦横斜めに定規を当てた感覚が両方の石とも同じになれば完成です。 |
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同種の砥石の共擦りによる調整 | |
今では他に調整し易い物が普及しているので、あまり共擦りによる調整はしなくなったかもしれないが、精度良く調整しようとすると以外に難しい。 もちろん加減したりする勘所も難しさの要素であるが、実は自分の手癖が意外と強敵だったりする。 自分の手癖をいかに消すかというよりは、コントロールできれば良いのかもしれない。 手癖のコントロール(クリック)について考えてみると良い結果が得られる可能性もある。 砥面の修正だけではなく、研ぎでも手癖は出やすいので、研ぎや裏押しなどでも応用がきく項目でもあります。 下の説明図は歪んだ砥石を側面から見た時のイメージですが、共擦りする組み合わせごとに考えていこうと思います。 また共擦りする砥石のそれぞれ表裏の計4面を調整した方が微調整もしやすいかもしれません。 |
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@凹と凹のパターン |
砥石の丈に対して真ん中が凹んでいる砥石同士の組み合わせだが、両端が削れれば良いだけなので、ここではストロークをはじめは小さめに擦り合わせると端だけが削れるので、それだけで平面に近づいていく。 大よそ中心部の凹み部分の高さまで削れたら軽く大きめに前後ストロークして均す。 最終的にはおそらくBの組み合わせになるだろう。 |
A凹と凹のパターン |
このパターンは最も安定性に欠ける組み合わせなので、大袈裟にいえば縦方向に擦り合わせるだけでは、いつまでたっても…なんて事にもなりかねない。 まずは真ん中のみを減らして安定感を得てから縦方向への擦り合わせに移行したい。 ●砥石の中央部を減らす(クリック) |
B凹と凸のパターン (クリック) |
最終的には@Aの両方もこの組み合わせに移行してくると思うので、共擦りの本当の調整はこの組み合わせの調整をどのようにこなすかという事にウェイトがあるのではないかと思います。 左画像をクリックで説明ページへ。 |
この作業は精度良く仕上げようとするとかなり手間が掛かりますが、ここで調整した荒砥石などは、中砥や仕上砥石の調整に使用する分には大して歪みませんので、小まめに微調整するようにして常に誤差の少ない状態を維持するようにすると、慣れにもよりますがそれほど手間は掛かりません。 普段の微調整程度なら可能であれば、砥石を水につける前に乾いた状態で共擦りを行うと、定規を当てた際に目で光の漏れ具合を確認できます。 |
荒い砥石・面直し器で研ぎ面を直す | |
これが通常の砥石の平面出しの作業です。 電着ダイヤでも同様の方法で行えますが、下の『ご参考までに…』も一読していただければと思います。 研ぎ面を直したい砥石より粗い物を擦り合わせる方法です。 直したい砥石が上側となるか下側となるかは、直すのに使う物で違いますが理屈は同じですので、やりやすい方を探してください。 通常は一番よくある研ぎ面の歪み方は縦横真ん中が窪むパターンです。 この場合は手癖(手癖のコントロール参照)に気をつけながら擦り合わせるだけで刃物の裏スキの原理と同じで真っすぐに直せるでしょうが、必ずしも全員がそういうふうに減るわけでもないですし、研ぎ面を直し損ねたりして出っ張る場合もあるかもしれません。 いずれの場合にせよ要は裏スキの原理を利用すれば良いだけです。 |
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裏スキの原理を利用するなら左図のようにオレンジ色の部分を軽く凹ませれば良いのだが、刃物ではないので余計な部分は全部取ってしまった方が安定感も増しますし、何より手っ取り早いです。 ですので、ピンクの部分も凹ませ茶色部分の四隅だけを高く残し、真っすぐな物で削り取れば良いだけです。 5/14 追記 理想としては分かりやすくする為に大袈裟なイメージで砥石側面から見た図を描きますと下の図の様な感じです。 端の高い所の面積は少なく、低い所はなるべく高さを均一に近づける事で、高い所が減って研削面積が増えた時に、なるべく少ない労力で平坦になるように少し加減しながら真ん中を減らすと効率的です。 真ん中が極端に深くえぐれるていると、どうしても砥面が平坦に近づいてきた時に研削面積が増え、あと一歩という所で一番深くえぐれた所が真っ直ぐになりにくいですので、その場合は一番端のやや内側を意識して研削すると、下側の図の様なイメージで研削すると上側の理想の形状にやや近くなるのではないかと思います。 最後に仕上げとして全体を前後に加え斜めにも満遍なく擦って平面を出します。 |
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幅方向に凸場合 |
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@ A |
幅方向で中央が高い場合は幅の狭い砥石などで図@のように縦に擦ると良いでしょう。 真っすぐな場合は無駄に砥石を減らす必要もないので、何もしないか、他の一番低い部分より低くならない程度に擦るだけで良いでしょう。 幅の狭い砥石を用意できない、または使わない場合は図Aのように水色の部分に力が加わるように端に力を入れて、前後にストロークしながら赤い点線の範囲を左右に移動します。 適当な所で左右逆に同じ事を繰り返して真ん中を減らします。 但し擦り合わせる側も端の方が負担が強いため、端の方が減りやすくなります。 |
砥石丈の方向に凸の場合 |
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また、砥石丈の方向にみて中央が出ている場合は『B凹と凸のパターン』の最初の解説(クリック)や『砥石の中央部を減らす』(クリック)などを参考に中央部だけを減らしてください。 |
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5/14 電着ダイヤでの修正 |
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ここでの修正は電着ダイヤの平面が精度良く形成されている事が前提での修正の紹介をしています。 電着ダイヤの平面調整についてはアトマエコノミーと硝子修正器について触れていますが、あくまで自己責任でお願い致します。 また硝子修正器は新品時には意図的に電着面の縁の部分の1センチずつ程度が低くしてあるので、よほど使い込んで電着面全体の高さが揃っていない場合は、実際の見た目よりも両脇約1センチずつ、つまり約2センチ幅の狭い電着ダイヤとしてイメージしながら作業します。 |
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動画(YouTube) |
まず幅方向の中央が高い場合の修正は上記の『幅方向に凸の場合』の修正法と同じである。 砥石丈の方向に凸の場合は、砥石同士の共摺りやセラミックなどの修正器などでは、常に修正する側の平面の摩耗の事も考えながら修正していましたが、電着ダイヤ系の場合は、砥石と摺り合せた際に電着ダイヤ側の平面の部分的な崩れが少なく研削力も強いので、上記の『砥石の中央部を減らす』のように修正する側はあまり神経質になる必要もないので左図のように横向けにして電着ダイヤ面の中央部を使って真っ直ぐに前後方向にストロークして丈方向の中央付近を低くする。。 この際に研削力が強い事もあり左右によれると幅方向に凸になってしまうので、力が左右に分散しないように注意する。 順番としては上記のように幅方向の凸を無くしてからの方が安定するので、やりやすいように思う。 幅の真ん中を凹ませてからこの作業に移行した場合、砥泥が修正される砥石幅の両端から発生します。 この砥泥の擦れた痕が真ん中辺りまで繋がったら、この作業は終了です。 全体が繋がる必要はなく中央辺りが一番低いと仮定すると、そこが繋がれば全体が最終的にはその高さに揃う訳ですから、それでOKです。 これで上のコーナーでも説明したように四隅が高くなるのであとは手癖に注意しながら前後斜めに擦り合せて真っ直ぐにします。 |
ただ、電着の場合は常に上の様に行う必要はなく、砥石を小まめに修正して砥面がそれほど狂っていない場合と砥石の中央部が高くなっていない場合は、まず縦方向に前後ストロークします。 但し中央部が高くない場合でも砥面の歪みが大きく部分的な凹みなどがなかなか修正できない場合もあるので、そのような場合は、ある程度修正した後に上の手順から始めます。 電着ダイヤよりも砥石の幅が広い場合、もしくはギリギリの場合など気にせず砥石幅の真ん中の辺りだけで前後ストロークします。 すると砥石の幅の真ん中がほんの少し低くなります。 |
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続いて両斜め方向に電着ダイヤを向けて、縦方向(修正される砥石と並行)に擦ります。 電着ダイヤの幅が修正される砥石より狭い場合や同じぐらいの場合、縦に擦り合せた際に幅の両側が高くなっているので、斜めに擦り合わせる事で左図のピンク色の部分が、たすき掛けに両サイドの高い部分が削れて真ん中の低い部分と同じぐらい高さになります。 大体高さがそろうと擦り合わさる面積が広くなるので、下りが鈍くなるなる為に高さが揃いやすくなるという事ですので、何となく砥面からの感触が伝わってきますので、高さが揃ってからも同じように斜めに擦りすぎるてはいけません。 気になる場合手順の工程から全体にあっさり軽めにやり直して微調整します。 |
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上のどの工程も短いストロークで行うのが基本ですので、特に平均的なサイズがある砥石では斜めに擦り合わせの際に電着ダイヤがターンの部分にあたり、左図の白い部分を基本に緑色で描いた円の部分に削り残しが発生しやすいので、ここを軽く工程で行った斜め勝手の擦り合わせを少しだけ左右にずらして、削り残しの部分をフォローします。 面積的にはほんの少しの範囲ですので、下りが早いので軽く擦る程度です。 |
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@〜Bの複合動画 (YouTube) |
の工程ごとの面積を頭にイメージすると、それぞれの工程ごとの擦り合わせの比率がおおよそ分かると思います。 これは修正される砥石の砥面の特に幅で変わってきますので、砥石に合わせて多少変わってきます。 の工程では幅の両脇より一段掘り下げるという作業になり、他の工程の様に出っ張りを均すのとは労力が違いますので少し余分に行う必要があります。 そういうう事も踏まえ基本的には縦の擦り合わせが一番多く、次に斜め擦り、そして残りの部分となります。 |
ご参考までに…
尚、仕上砥石が軟らかい場合や細かい穴などが空いている場合など、荒砥石の粒子などが入り込んだり刺さったりする場合があります。 流水で勢いよく洗うか、溜めた水で洗う場合は、砥汁が乾く前に溜めた水の外で洗い流し、研ぎ面を下にして溜めた水につけ、下から研ぎ面に向かって水圧をかけるように手で水を送ったり擦ったりして、付着していた粒子が落下するよう促す。 電着ダイヤは新品はダイヤが脱落して砥石に紛れ込みやすいので、よく洗うよう注意。 また、電着ダイヤは吸水しないので砥汁の逃げ場が少なく、砥石が削れて砥汁が発生し粘度が上がり、水分不足の砥汁が固まりだしダイヤに砥汁が咬んで目詰まりを起こします。 それにより研削しにくくなるので、弱い流水の元で行うのが理想的で、無理な場合は直したい砥石の砥面が何とか浸かる程度の水につけたまま、時々電着ダイヤを浮かせて水をかませて、研ぎ汁が固まらないように気を配ると効率が良いように思う。 それも無理な場合は砥汁が濃くなる前に頻繁に水をダイヤと砥石の間に撒いてやると、電着ダイヤの掃除も楽になります。 |
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