手癖のコントロール



自分なりに手加減して調整しているつもりなのに、なかなか思い通りに安定した調整が出来ないという事があるかもしれない。

そんな時には意外と自分の手癖が原因の時がある。

例えばここで説明する荒砥石の場合、何気なく握りしめて砥石同士こすると、力を入れた時や抜いた時や或いは姿勢などで、自分では気付かないうちに、しゃくりあげたり力が左右によれて伝わったりと、不安定で不規則な要因を招いている事がある。

ここではそういった要素をなるべく予測のしやすい範囲に抑えてコントロールできないかという事を自分なりに考えてみました。

まさに『机上の空論』ですので、この方法ではなく自分で編み出した方法を用いても良いかと思います。

この作業に限らず手作業である以上、手癖というものがあるという事をどこか片隅に留めておいてください。




左の画像のようにまず両手親指の腹だけを砥石巾の中心線を挟んで横にくっつけて置きます。

親指は少し立てるようにして、他の指は軽く両側に添える程度です。

親指は主に、上側の砥石を前に押し出す力と、下へ押し付け圧力をかける力を受け持ちます。

他の指は砥石を前後にストロークする際の方向のガイド役と砥石を手前に引き戻す際に使います。

砥石同士を擦り合わせる際、殆んど前に押し出す動作の時に圧力をかけて研削します。
引き戻す時は、ほぼ砥石の重みだけです。





力の入れ方を考える


これは上側の手に持って擦り合わせる方の砥石を側面から見た図です。

先ほどの持ち方でオレンジ矢印のように力を入れると、前にスライドしようとする力と下へ押し付けようとする力が働きます。

砥石の底面で砥石丈の中心に向かって力を入れれば、砥石の丈全体に均一に圧力がかかると考えると、親指の位置は上面では砥石丈の中心より後ろになります。(オレンジ点線および矢印)

砥石同士の摩擦が大きく滑りにくい場合は、青点線のように更に親指の位置は後ろへとずれます。
こうする事で前への押す力を増やすと同時に下への圧力が減少します。(但し、圧力が減少する分は研削に時間がかかります。
摩擦による重さに対して力を加える手の位置が移動する事を片隅にとどめておいてください。

幅方向に対しても、親指は前項の説明のように中心線をまたいで均等に置きますので、底面に中心線をイメージして、そこに向かって左右均等に力が加わるようにイメージします。





実際の擦り合わせ




ところが実践するとなると、先ほどの項のやり方だと問題があります。

例えば上の図のように上側の手に持つ砥石を前方にスライドすると、上側砥石の中心線(赤線)に向かって力を加えると、下の砥石より前に出た瞬間から前のめりの力が働き、下側砥石の前方方向をより力が加わり、凸状になりやすくなってしまいます。

私やり方だと前方にスライドする際に強く圧力を加えるので、前方向のスライドを基本に考えたいと思います。

例えば最大限に前方にはみ出す寸法Aを3cmとすると、上側砥石の中心線から底面でAの半分の1.5cm手前にずらした部分を狙って力を加えるという事です。

その狙う位置が上下砥石の最大にずれた時の重なり寸法の中心となります。

ずれ幅Aが3cmとすると前後で6センチぐらいの前後ストローク幅で擦り合わせる事になります。

あまりストローク幅を大きく計算すると精度は悪くなってきます。
それは砥石が移動して重なりが不定なのに対し、力の加え方が一定の為に矛盾が生じるのですが、実用的で誤差の少ない範囲を狙うという事です。

ほどほどで上側下側の位置関係はそのままに両方前後の向きを変えると、より均等な力配分になると思います。

またその特性を利用してスライドを大きくすると、下の砥石は前方部、上の砥石は真ん中よりを減らす事が出来ます。

ちょっと自分で読んでいても説明が回りくどい気がして理解しづらいですね(笑)
スミマセン。