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硝子修正器購入記3




更に数日後
その後4〜5日経って、購入先のお店に立ち寄った際にメーカーの担当者の方と電話でお話しする機会があり、前ページまでで説明したような事をお話をさせていただきました。

とはいえ、こちらには簡易的な検査しか出来ませんので、具体的に証明する事は出来ませんし、こちらの検査方法に間違いないとはいえません。

直接お話をさせて頂き、前回の検査ではやはりメーカーに預けた修正器で砥石(刃の黒幕のメロン)を修正して、丈方向の誤差を数値化したものであるという事は確認できました。。
とりあえず、直接お話が出来てお互いの誤解もあるようですし、何より言葉上のやりとりだけでは、表現に限界もあますりので、まだ途中ではありますが、この硝子修正器のページを急遽公開して見ていただく事にしました。

急いで公開した為、まだまだ追加や修正を加えなければ誤解を招く表現があるかもしれませんが、あくまで個人の使用感のレポートだとご理解ください。
また製品が納得いく検査法で結果が問題ないとなり、事実と異なる評価で製品を貶める可能性があるとこちらが判断した場合、あくまで個人の勝手な使用感とはいえ、直ちに削除させていただこうと考えております。



電話で話した結果、後日改めてお会いしてお話をしたいというお申し出を頂き、後日お会いする日程を協議する事となりました。
その際に名前を尋ねられましたが、本来は購入時にこちらの身元を知らせる必要もなく、また担当者様個人や会社がどのように個人情報を扱い処理するのかも不明の為、お断りしました。

要は製品に納得のいく検査法で不具合がないと判明すれば良いですし、不具合があれば正常な製品と交換していただければ、それ以上の気遣いは全く不要ですので、そのような対応していただければ、同社に対して私の中では逆に良い印象に感じる事が出来ると思います。

ですので、お会いしたり個人情報をというのは、普通の物を普通に購入したいだけの私にとっては、あまり気分の乗る話ではありません。
念の為に付け加えると、説明を見てファンになっただけの只のいち購入者というだけの事なのですが・・・。

ひとつ気がかりなのは担当者がお忙しい事もあり、会ってお話しする日程もまだ先のようですし、それからまた再検査かもしれません。
いずれにしても、使うほどごく僅かずつでも修正器の面が変化するので、対応が決まるまではほぼ使用禁止状態となります。




待つ事、更に4〜5日
先日のお会いする日を協議する話で、担当者様がお急がしいので確実に会社にいらっしゃる日に、問屋さんに連絡をして協議していただく事になっていました。

間にまた人をはさむ形になるので、何度も話を往復するのは大変と考え、こちらへ来れそうな日を複数リストアップしてきただき、その中からこちらが合わせられる日を選ばせて頂きたいと申し出ておりました。

その件に関してお店から連絡があり、日にちの候補を確認しました。
当初お話させていただいた時は担当者様がお忙しく、お会いできるのはもう少し先の日にちの印象でしたが、こちらに御配慮くださったのか、休日も関係なく近日中の候補を挙げてくださいました。

とりあえず、その中から日にちを選ばせて頂き、担当者様へご返答いただくようお願いしました。




その更に4〜5日後
当方の指定した時間より40分ほど早く待ち合わせ場所の購入店へ行き、道具を物色しながら時間を潰そうと考えていた所、既にシャプトン社の方がおいでになっておりました。
挨拶と共に名刺をいただいた所、同社の代表取締役の方が直々においでくださったようで、実際のイニシャルとは違いますが、肩書きを書くと長いので、ここではA様と呼ばせていただきます。

まさかA様ほどの肩書きの方が来られるとは思ってもみませんでしたが、会社の対応としては客観的にこれ以上の評価はあるはずもありません。



時間にはまだ早かったので、問屋さんはまだ来られていなかったのですが、挨拶を済ませると自然と修正器の話をする流れになってしまいました。
ただ、 私の幅方向の精度を確認していただきたいという事は、人伝いという事もあってか最初の段階では幅方向の不具合だとは理解出来ていなかったそうである。


話の大勢は最初の10分ほどで、私の中では決まってしまいました。

話し始めてすぐに私が簡易的な検査で感じた隙間など大体の誤差の数値なども含め、修正器の修正面についてはほぼ私の指摘の通りであるという事から話しが始まりました。
そしてザックリいうと現段階の技術ではそのような範囲の誤差の製造が限界であるという事、また誤差の大小の個体差は確かにあるという事らしい。
ただし、これは製造において意図的に誤差を設けている部分もあるらしい。
この事については、後ほど素人の理解した範囲内で触れる事とします。

という感じの話を最初に聞くと、ほぼこちらとしては製品に対して指摘や議論を重ねたり交換を求めても、現段階で製造工程での限界である以上、目に見えて改善する事も望みにくく、無駄である事はすぐに私の中で理解できたので、それ以上は私の方から検査や品質を議論し続ける事は不毛な事である。

こうなると取るべき道はさほど候補はない。
返品するか、ダイヤとニッケルとはいえ、ごく僅かずつ磨耗はするであろうから、面全体の浮陸が平均化するまで使い込むかという事が主だった候補である。
返品など野暮な事はなるべくはしたくありませんし、道具とは自分で手を加える物だと考えるとやむなしという所なのでしょうか。



製品について
製品について素人なりの理解の範囲では、電着というもの自体が端から電気を流す為、周りの端の部分が分厚くなり縁に近い部分が高くなるのだそうで、縁が高くなったのを今度は意図的に縁に沿って外側の厚みを減らしているのだそうで、その厚みを減らした部分の高い所から低い所までが約10ミクロンだそうである。

確かに修正器の特に幅の真ん中が低くなると、もはや修正は困難を極めるので、そのままにしておくよりはきっと正しい判断なのだろうとは理解できる。

また意図的に低く減らした縁の部分をどけた真ん中部分も部分部分でキッチリとした平面にはならないのだそうです。

幅の狭い砥石でテストをした結果を担当者様に電話でお伝えした事に対し、最初から修正面がこういう形状である事を電話で説明がなかっただけでなく、理屈に合わない説明をおっしゃられていたのには、何か勘違いされいたとしか思えないが、そういう理由であれば砥石の幅の真ん中が凹みやすいのは理解できる。
私にとって吉報ではないが実に明解な話である。



電着という仕組み自体は単純なものらしいのですが、平面の精度という事に関しては、何処まで求めるかにもよりますが難しい技術のようで、どうしても電気を通さない事や精度を維持して加工するには制約の多い強化硝子にこだわった事も、製造技術のハードルを上げてしまっているようです。
どこまで書いて良いのか分からないので、これくらいの説明にさせてもらいますが、修正器の端の1pぐらいが磨耗が少なかったのは、それが理由のようである。

これをシャプトンの提唱する修正法で修正する事で、面を満遍なく使い修正器が徐々に磨耗し、平均化する事で修正面の安定化や、徐々に端まで使えるようになる事を期待した上での精度らしい。
いずれにしても、最初のうちは72oの幅から両脇の約10oずつの部分を引くと約52ミリ幅の物で修正しているような感覚の方が近いのかもしれません。
どうりで直す時に癖が出るはずである。しかも目で見えているイメージでは72oの板で修正している感覚で行っているのですから。

長さを少し減らしても幅を1センチずつ合計2cm増やしてもらえれば、理屈的にはもう少し修正の際に安定しそうですが、A様の反応があまり良くなかったので、硝子のカットわりや電着面積も増える事からコストが極端に悪くなるとか機材的な問題などという理由などがあるのかもしれません。
A様としては、もう少しじっくりと研究と熟成を重ねてから商品を正式に販売したかったというニュアンスも伝わってきました。

一方、先に開発された『空母』は幅が少し広い事もあり、そちらの方が私の場合は良いかもしれないという事らしいですが、素材が強化硝子ではなく重いので、『空母』の方を上にして手に持って修正するというやり方には向かないかも知れないという事でした。



硝子修正器に話を戻しますが、少し前の部分にも書きましたがどうしても個体差もあるらしく、例えば数字の信憑性は分かりませんが100個に2個とか3個、あるいは1000個に何個という単位で誤差の少ないものも探せばあるだろうという事でしたが、それについては私的には以前のような砥石の修正の仕方で検査したのであれば、本当の意味で製品自体の誤差の少ないものを探し出せるのかは疑問ではある。



A様にどのように修正器を使うか見たいといわれ実演して、後からA様の修正の仕方も教えていただきました。
その後、私の修正についての理屈(私のサイトでは現在のところ掲載していない部分を含む)を簡単に説明させていただきましたが、納得されたのかは分かりません。

これについては幅にも丈にも本来つかみ所のない平面精度同士の荒砥石同士などの歪みを取って最終的に両方の砥石を平面に近づけていく要領から応用しての理屈なのですが、今時このように砥石同士を擦り合わせて精度を微妙に修正するなんて事は殆どしないと思われますし、やった事が無ければ感覚的にもイメージも出来ませんので、理解を求めるのは無理な事なのかもしれませんし、一般的というよりはあくまで私個人の修正の仕方なので、理屈についてまでは特に興味をお持ちでなかったのかもしれません。




その他
修正器以外にいくつかの番手の硝子砥石・硝子盆・専用砥石台などをお持ちになられ、硝子砥石を使ってA様本人がお研ぎになられた鉋を見せてくださいました。

研ぐ事に関して専門職ではないですが、ほぼ刃渡り全体で刃先まで肉眼で見た限り刃が付いており、充分お上手に研がれておりました。

私のそれなりに研いだ鉋もありましたが、カチカチの天然砥石で仕上げた物でしたし(天然砥石にはあまり深く踏み込まないようにしていると伺い、天然砥石に特に良い印象も無いようでしたので)たくさん削ろう会でも有名どころの方とお知り合いのようで、今さら私の稚拙な技術で研いだ物をお見せしても仕方がないので、やめておきました(笑)



その後、私の研ぎ方を見たいと仰るので、砥石の試し研ぎ用の古い鉋を使って稚拙な私の研ぎをお見せしました。
それを見て、特に何も説明しませんでしたが私のような研ぎ方であれば、より精密な精度が必要だという印象を持たれたようです。
といっても私自身はA様が思われているより、砥面平面の精度の許容範囲はあるつもりなのですが・・・。
何より多少修正しているとはいえ、今までは修正器ではなく両面テープで貼り付けた只の電着砥石で砥面を付けた程度の精度で許容してたわけですから。

私のサイトの研ぎのコーナーで書いている、ごく一般的な枠内のシンプルな研ぎ方をしただけですが、
特に平面維持をしようという印象が強く伝わったのかもしれません。

もちろん平面維持もありますが、実際には同じように見えても、研ぎ方と砥石の使い方でも狙いが変わってきますが、じっくりと見るなど特に興味を持たれたようでもなかったですので、私の方からそのような説明も差し出がましいので特には申し上げませんでした。



A様が教わったという研ぎ方もジェスチャーで教えていただき、A様自身この研ぎ方をするようになって、刃先全体が綺麗に当たるようになったのだそうです。
名の通った方の提唱された研ぎ方というだけあって、精度を維持するという意味で確かに理に適った方法だという事は、すぐに理解できましたが、実際にこの研ぎ方を提唱された方は、簡単に見て取れる表向きの理由以外の別の部分のコツなどがあり、私も表面的な部分しか見えていないのではないでしょうか。

練習という意味では、私の場合は超ガチガチ天然仕上げ砥石で、刃と砥石を合わせるというのが結果として分かりやすい正確に研ぐ練習になりましたので、それと比べれば非常にスマートな方法だと感じました。



それと、こちらが使用しているストレートエッジについては、当初から疑問を抱かれているようで、そのためにもストレートエッジを複数枚でストレートエッジの複数個所を使って同一部分の光の漏れ具合を検査したのですが、薄くなると温度の影響を受けやすく、より歪みが生じるなと説明を受けました。
勿論その理屈はずっと以前から知っていますが、精密機械で測定すると部分的にい1ミクロン2ミクロンの歪みなどが出たりというのをTVでも見た事がありますが、私が取り上げたのは、ほんの61o幅の目視ではっきり確認できる光の漏れ具合レベルの話を取り上げたに過ぎません。

何だか私がものすごく細かい話をしているような印象を持たれているような気が終始いたしましたが、幅方向で明らかに中央から光が漏れるような砥石で、鉋などを研ぎたくは無いなぁという感覚は細かすぎるのだろうか?



A様側が使用されたという何やら高級そうな精密定規(真直度棒)を見せてくださいました。
3枚擦り併せ法により職人が平面を出した物だそうで、間違いなく精度は良い物であろう事は分かりました。

しかし、それを使って確認まではしようと思いませんでした。
既に技術的に修正器の面精度がどうなるわけでもなく、確認してみるのも面倒であった事と、いわゆる角棒状でわざと刃物のようにして接地部を少なくしてあるストレートエッジに比べれば、それなりに太さがあるので、確認の際の対象物と目の位置の上下の許容範囲が少なく、他の要素も含めると太くなるほど光の漏れは確認しにくいので、測定者扱い方で差も出やすいのかな?という勝手な印象は持っておりました。

その印象について私の勝手な想像による思い込みですが下図のような感じです。




硝子砥石について
いくつかお持ちになった硝子砥石を研がせていただきました。
これについては、シャプトンさんがこだわりを持って造っている為、A様自身も高い評価をたくさん頂いているようで、これについてはもし購入すれば正式にコーナーを作って評価しようかとも思いますが、少し研がしていただいた印象では、#2000〜#8000の間で研いだ番手では全体に研ぎ感のバラつきが無く、非常に軽快な印象で研ぎ汁の質感も良い感じです。

#8000は研いだ刃物では下りが少なめの印象であるが、私が力を抜きすぎたり刃物との相性の影響があったのかもしれないが、通常の#8000としては非常に細かい研ぎ上がりの印象があった。
A様はあまり研ぎ汁が出ないでなるべくヤスリ的な研ぎ方を目指しているようでした。

購入に際しては仕事に対して、或いは趣味やこだわりに対して、砥石層の厚みも少ない事もあり、個人の価格との折り合いの問題である。
確かに現物は材料や品質のこだわりがあり、コストがかかっている事は充分に見て取れます。




という訳で
A様(シャプトン社)は自社に試し研ぎ用のスペースを作って土日に開放したりしているそうで、日本製の砥石の質の良さや日本の研ぎの技術などを、日本はもとより世界に発信しリードしていきたいという修正器というよりは砥石に対するこだわりや姿勢や取り組みは充分感じる事ができました。


そんなこんなで、夕方に新幹線で帰路につかれました。
どうも休日に遠路お越しくださりお疲れ様でした。




硝子修正器購入記については、メーカーの商品説明や謳い文句なども含め、もっといろんな意味で追求すべきだと思われる方もいらっしゃるのかもしれませんが、使う側がどの程度の精度を求めるかという事も一定ではなく、現段階での技術的な限界であれば、私自身はこれ以上を求める事に意味を見出せませんので、A様のような肩書きの方が遠路お越しくださった事に、一応の誠意も感じる事が出来ましたので、文章の修正などはするかもしれませんが、一応は記載忘れや特に大きな変化でも無ければこれにてひとまず終了とさせていただこうと思います。

なお掲載については、どんどんいろんな意見を掲載していただいた方が良いという事で、了承を頂いております事を、念の為ご報告申し上げます。


このシリーズに長々とお付き合いくださり、ありがとうございました。




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