炉内位置限定 #3000 (田中砥石工業所)


新品時 213(長さ)×75(幅)×25(厚み)



硬さ:37   下り:35   研ぎ感の軽さ:28




しっかりと水に浸け込んで充分に吸水させてから使用するタイプ。

高温で炉で焼いて製造されるタイプで、本来は焼き加減で個体ごとに硬さに差があるのが一般的。
お店の説明から判断すると、この砥石は焼き加減の個体差を減らすべく、製造の経験から炉内の火の通り具合の似通った狭い範囲の部分に限定して焼成する事で、個体ごとの硬さの差を少なくする事も照準に入れて製造された砥石だと認識している。

とはいえ、恐らく大きくはないのでしょうが少しは個体差はあるようです。

高温焼成ですので変質は少なそうで保管にもそれほど気を使う必要はなさそうである。

同じ田中砥石工業の取り扱いのニューケントと比較すると少し大きさが違う

ベスターサイズに近いが長さがまだ僅かにベスターより長く、専用の箱というよりは30型の天然砥石でも入れるような金色の箱に入っているが、長さが箱につかえる為に箱を破らず出そうとすると、なかなか頑固で出し難い状態である。

価格的には一般的市販品と比較すると#3000としては、なかなか立派なお値段。
炉内位置を限定する為の手間賃がかなり乗せられという値段では無いと個人的には思います。

なかなか立派なお値段と申しましたが、個人的にはそれを裏付けるかのように使用感もなかなかのものに感じました。

数値で見てもなかなかではあるのですが、他の砥石にも数字的には近い物はあります。

僕が設定した項目の数値では表現でき無い部分がこの砥石にはあり、久々に自分の中ではヒット商品です。

#3000という粒度は一般的に大工道具ではあまり馴染みのない粒度かもしれません。
もし使うとすると他の砥石との相性や組み合わせによっては便利かもしれません。

購入した砥石はいつものごとく、怪しい個人的な硬さチェックをして購入しましたが、前に使う砥石の研ぎ傷を消すのが目的ですので、いつものように一番硬そうなのは下りが少ないと意味が無いので避けました。

一枚だけが、どちらかというと他よりは少し硬そうで、他は多少違ってもドングリの背比べといった感じでしたが、明確な違いも分からないなりに2番手ぐらいのつもりの硬さの物を選んできました。

まず特筆すべきは高温焼成品とは思えない滑らかさ。
これは研ぎの重さの数値では無く、高温焼成品で研いでいるとありがちな、砥面のザラザラ感や石っぽさや砂っぽさが殆ど無く、刃当たりが硬いという事もなく実に滑らか。

さらに真っ黒の研ぎ汁が直ぐに出て下りも強い。
砥石自体はけして硬くないのですが、よく下りるので#1000前後と仕上げの間に組み入れる用途であれば、砥面が著しく変形するほど長く研ぐ必要もないと思われる。

またこの砥石自体に粘りがないのか、研いだ時の硬さの印象以上に電着ダイヤでの砥面修正が異常に楽で、普段の感覚で砥面修正をすると必要以上に砥石を減らしてしまう感じがします。
慣れてしまうとこの砥面修正の楽さはやめられません。



刃物を研いだ時の研ぎ汁の画像

やや泥の色が混じるが黒い研ぎ汁で、個体差で泥の混じり具合が微妙に違う。