錆取り剤 R55-J



錆取り剤のR55-Jである。
Jは恐らくジェルを意味するのだと思います。
普通のサラサラのリキッドタイプと少し粘性を持たせたジェルタイプがあり、こちらはジェルタイプ。

今にして思えばリキッドタイプの方が若干錆びには浸透しやすいのではないかと思いますが、粘性といってもおまけ程度でそれほどドロリとしている訳ではない。
垂直面などで流れにくくする為に粘性のあるタイプがあるようですが、その他に夏などは鉄が暖かくなった場合でも、あまり急激には乾かないのではないかと思いジェルタイプにしました。

これの良いところは、説明を見る限り錆取り能力が高いにもかかわらず、扱いが非常に楽で危険性が殆ど無いところである。

説明を詳しく読む程、100パーセント説明通りの品質なら、なかなか夢のよう?な製品である。


メーカーサイト

製品説明ページ


同梱の製品説明書



R55-Jで古い鉋の再生テスト

では実験的に錆びだらけの鉋を復活させるという体で錆取り効果を試してみましょう。

錆取り剤R55-Jでの錆取り前。
右側の鉋は以前に重曹溶液の中に浸しながら、超音波洗浄(眼鏡や指輪の洗浄機)してみたが、大した効果も無く何となく薄汚れだけが取れた感じ。

特に肌が弱い訳でもなく、長時間に及ぶ作業でなければ素手でも平気なようだが、念の為使い捨てのビニール手袋を使用。

ドブ浸けするのが一番効果的と思われるが、錆取り剤が汚れたりするのも嫌なので、ドブ浸けではない方法で、時間をかけて浸透させる方法にする事に。

錆取り剤を鉋全体に筆でたっぷりと塗る。






包んだティッシュの上から更に筆でたっぷりと染み出るぐらいに、なるべく空気で浮き上がらないように錆取り剤を全体に塗る。

側面も錆がある場合など、側面もピッタリと密着させる。

そのままティッシュなどで包む。
画像はティッシュを二組重ねて使用。

更にラップで包んで1時間半ほど(適当なのではっきり覚えていない)?放置しておいたのがこちらにございます。
錆の色が染み出て少し期待。

乾かないようにサランラップは開口部が無いように包むが、あまり重ねるとめくり難いので最小限に。

包んでいた物を全部剥がすとこんな感じ。
既に錆が無くなっている部分もあるし、浮いている部分もあるようだ。
とりあえず錆取り剤を塗った後、ブラシで錆を擦り落としたのがこの状態。

ブラシで擦り落とす際にどんどん乾いてくるので、その適度に錆取り剤をつけながら擦りました。

錆の部分をブラシで擦りながら落とします。
ブラシはナイロン・真鍮・ステンレスを用意してみた。

まずは一番優しそうなナイロンブラシでゴシゴシするが、錆びも落ちるが黒皮(酸化被膜)まで落ちてしまった。

塗料にも大丈夫という事なので少し期待したが、酸化皮膜はさすがに無理なようだ。

ちなみに真鍮は溶けだすのか鉋が黄色みがかって駄目で、どうせ黒皮が落ちるのでステンレスブラシを使ったら特に傷が入る事も無く良好。

刃先に当たると毀れるかもしれないが、ステンレスが一番効率が良いようだ。



こんな回転工具を使って残った錆の部分を吹き飛ばしてみようと思いセットする。

かなり使い古しているので研磨力はかなり弱く鉋の金属部分に傷は入らない。

刃先近くのこの錆を落とそうと思ったが、磨かれて光るだけで落ちない。

この部分は錆としては密度が高いようで、今回の放置しておいた時間だけでは、とても浸透していけるような隙間が無いようです。

大部分は取れたのですが。

出っ張った錆をカリカリとやったところ。

針でも何でもよかったのですが手元にめぼしい物も無く、「これでもいいか。」と掴んだのがこれ。

小さい電着ダイヤの回転工具。

これを機械にセットするのでなく、手で持って盛り上がっている錆の所をこそげるだけ。

あれ?こそげるって方言?

それを研磨力の弱った回転工具で擦ると・・・
うーん、もうちょっと。

さらにカリカリして回転工具で擦ったところ。
ほぼ平坦な位置まで削れた。
針ならもう少しいけるかな?

この後、錆取り剤を塗ってステンレスブラシで擦ります。

ようし、これくらいで勘弁しといてやろう。

という訳で錆取りはここまで。
接触した部分赤錆は黒錆に変化という事なのか、少し青灰色というのか、錆の多さが原因か艶の無いくすんだ感じ。




という訳で・・・黒皮が無くなったので黒染めでもしますか。

例の回転工具で全面磨いて、くすんだ部分を一皮剥きます。

手でやる場合は、研磨剤とか#700〜1000の人造砥石の泥とかを指や段ボール・コルク・発泡ウレタンとかで擦るか、青砥の軟らかいのとかで直接擦るとかでしょうか。

黒染剤を塗る部分は油分が付くと黒くなりにくく、ムラになるので直接手で触れないようにします。

筆で黒染剤を塗ります。

ムラにならないよう、たっぷりめの黒染剤を手早く塗り、塗った面を筆でよくかき混ぜムラ抜きをします。
更に回転工具で磨いて仕上げます。
カエサキ付近も回転工具の角を使って黒い部分との境界をはっきりとさせます。

それにしても錆び穴だらけ。

黒く塗りました。

  
きれいに洗った後、黒染剤の定着剤というのが付属しているタイプではないので、黒が剥がれやすい。

クリアラッカーやニスなどでも良いが、とりあえず手元にあった荏油をうっすらと塗った。

乾くと透明な膜が出来るが、耐久性はさほどないだろう。

とりあえず自然派という事で・・・て塗ったら、くっさぁ!!

荏油も確かに独特の匂いがあるが、そうではない。
黒染剤と荏油の成分が何か化学反応するのか、黒錆もしくは見えない赤錆びと反応してるのか、何ともいえん悪臭。
自然派は鼻に厳しかった。

自然派とかこだわりが無ければ、何か艶消しクリアーの物を塗るとテカテカに光らず、自然な感じではないだろうか。

とりあえず臭いなりに2日程放置して完成。
乾いたら匂いはそれほどでもない。

ちなみにテストなので裏押しとかはしない。
あんなに穴ぼこだらけで、しかも薄〜い鋼なので無駄だろう事が予測されます。

やっぱり、ここまでの錆びたのは再生は厳しいなぁ〜という教訓。




しつこいようですが、ところで・・・

錆取り剤を塗った紙とラップを巻いて放置している間、他に錆を撮る物は・・・と探していたら、こんな物が。

かなり前に刃物研ぎに使ったアトマ荒目。
えーっ!錆びてはいたけど、こんなにだっけー!?

伊豫砥とかで擦ったりするんだけど取れないよねー。
もう地が逝っちゃってるのかなぁ?
「こんなもんはなぁ」ってな事で筆で錆止め剤を塗ってみると、みるみるきれいに。

錆じゃなくて、洗剤の実演販売用にわざと汚れを塗ったみたいに見えてくる。

こんなタイプの電着ダイヤ砥石にも薄錆が。


端の方に僅かに残った錆色をナイロンブラシでササッと擦って水で洗ったら、もはや新品並みの美しさ。

錆の部分ときれいにした部分、はたして研削力に差は出るのか?

ちょっと端の方だけ錆取り剤を塗って試してみました。

錆取り剤を塗ってナイロンブラシでサッと磨いて水で流したら、うーんこちらもきれいになりそうですよ。



どうやら錆取り剤に直接触れる事の出来る錆びには強いようです。
分厚い錆や密度の高い錆にはいかに浸透させるか、いかに直接錆取り剤に触れさせるかがカギのようです。
塗装とかにも影響ないようですが、酸化被膜に強酸性のこの液体は少し無理があったようです。

研ぎとは直接関係ありませんが、興味をもたれた方はお試しするのも有り???