奥殿 戸前


計測時 206(長さ)×76(幅)×32(厚み)



硬さ:46  細度:46  下り:8  研ぎ感の軽さ:40

曇光り:2  鏡面系:3




奥殿といえば巣板が有名なのですが、これは超硬口のガチガチの戸前です。

元々は厚みが50oほどあったのですが、研いでみると両面とも極細かい研ぎ上がりの中に、無数の針で引っ掻いたような傷が入る研ぎ上がりで、いわゆるハズレ砥石でした。

層は細かいきれいな直線で平行に成っており、無数の傷がなければベースとなる研ぎ上がりは鋼も澄んで仕上がるような細かく良い仕上がりだったので、ずっと何とかならないかと気になっていました。

どうせハズレ砥石なので、あっても薄くなって割れそうな砥石に貼り合わせるぐらいしか使い道がないので、厚みもある事なので割ってみてはどうかと、わずかな希望をいだき「餅は餅屋」という事で、『富士鳩』さんに伺った折に良さそうな所を鏨でカチ割っていただきました。

さっそく面付けをして研いだ所、雑身はなくなり見事な研ぎ上がりに変身しました。
ただし両面とも雑身があったため、このように研ぎあがる状況が何ミリ続くのかは微妙です。

カチ割った時の画像


目を立てれば別ですが、下りは少なく研ぎ汁も殆ど発生しない為、名倉系の使用は必須です。

使用時は共名倉を使い研いでいますが、研ぎ味は軽快で滑らか。間違いなく硬い石だが滑らかなので砥面の存在は感じても硬さ感は殆ど感じない、研いでいて気持ちの良い砥石です。

当時の試し研ぎの画像



刃物を研いだ時の研ぎ汁の画像

わずかに出ていますが殆ど出ない上に細かいので、すぐに酸化して茶色くなり砥石の色と同化して面白みのない画像ですね。(名倉なし)