シャプトン『刃の黒幕』#5000

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新品時 210(長さ)×10(幅)×15(厚み)



硬さ:39   下り:35   研ぎ感の軽さ:33




『刃の黒幕』シリーズではいわゆるエンジと表記されている砥石です。
全体に紫色の砥石に更に濃い紫色の点々があります。

これも他の黒幕シリーズ同様に水に浸けっぱなしにすると、軟化したり変質するタイプの砥石なので、使用時のみ水を砥面にかけて使用するか、使用当日に短時間だけ浸けて水から上げておき、使用時にサッと水をかけて使うというような使用するなどの注意をした方が良いように思う。
もちろん炎天下や火の近くなどの高温、極度に多湿な場所も避けた方が良いと思う。

硬さと下り・重さが高い次元でバランスが取れている。

良く下りるので、僅かに研磨力が落ちても少しだけ硬くなる方が個人的には好みではある。

厚さと砥石の乾燥状態によるが、数分〜10分ぐらい水に浸けると感触がマイルドになり潤滑性が上がって研ぎやすくなる。
但し表面近くが少し軟化しているサインでもあるので、やや研ぎ汁は砥石の泥の色が混じる。
同日中に再度使用する場合は、水から上げて日陰に置き水をかけるだけで使用しています。

全体が砥石で出来ていて、瀬戸物の様に高温で焼成されていない為にやや弾力がある。
薄くなってくると砥面修正の際に反対面の砥面側からの力の入力に対して砥石がしなって逃げ、真っ直ぐになりにくくなったり、研いでいる最中にも砥石の裏側と砥石台に広範囲に隙間があるとしなって真っ直ぐに研ぎ難くなったりする。

但し、僅かな話なので精密に直線に仕上がる必要が無ければ問題は無い程度。


研ぎあがりは肉眼でも確認できる傷はあるが、表面的な浅い傷ばかりのようで、刃の付き具合はマイクロスコープで見ても刃先が揃い#5000としては優秀な切れ味だと思う。

この砥石の難を挙げるとするならば、やはり変質に注意する事と、粒度が上がってきて密になってきているので、砥石と刃の形状がピタリと一致すると吸いつきに注意する事ぐらいだろうか。

変質については、水に浸けっぱなしという事だけでなく、片づける際に他の濡れた砥石と重ねたりくっ付けたりしないという事も注意したい。



刃物を研いだ時の研ぎ汁の画像


速やかに黒い研ぎ汁が出る下りの良さはさすがで、黒幕シリーズらしい少しヌメッとした研ぎ汁。