人造蓮華巣板仕上砥 #6000
(メーカー不明)





硬さ:30   下り:35   研ぎ感の軽さ:27




御好意でお借りしている砥石です。

あまり無茶な使い方をして変質具合などのチェックは出来ません。

水をかけると、とりあえずは砥石が吸水してしまうが、そのまま研ぎはじめても極端に水が枯れてしまうという事はない。
ただ研ぎやすさでいうと、たとえ1分間でも水に浸けておいた方が、扱いやすいようです。
長い時間水に浸けているとどうなるのかは分かりません。

白地に紫色の斑点を配する事で蓮華模様を再現というか、蓮華気分を出そうという感じだろうか。
ベースとなる白地の部分は少し変わっていて、最近よくある白地の砥石を純白とするなら少しくすんでいて、水に濡れると一瞬ではっきりと再生紙或いは週刊誌か!?というような色になる。

いわゆる天然砥石の名前にあやかろうとしただけの、よくありがちな商品かと思ったが、試しに研いでみるとなかなか真面目な商品のようである。

天然砥石を目標に開発されたのかなという印象を随所に感じる。
果たしてそのような意図があったかは定かではないが天然砥石をゴールとした場合、なかなかの完成度の高い砥石である。
願わくば#8000ぐらいの粒度で再現できれば更に天然に近づくと言えるのかもしれない。

販売店でメーカについて問い合わせたのですがよく分からず、販売店からも問い合わせもして頂いたのですがこちらも不明で、ネットをチラッと調べた感じでもメーカーまで記載されている所は発見できませんでした。

実際に天然砥石を横に並べて研いだ訳ではないが、京都の砥石群でも西側の丹波系のやや軟らかい部類の天然砥石にあるような研ぎ感にかなり近い印象。

少しモサッとした泥っぽさに意図的に入れた蓮華模様の影響も手伝ってか、確かに丹波系の白巣板の蓮華の様な感触を感じる。
ただ丹波系の砥石がみんなこんな感触という事ではなく、このような系統の感触の砥石も比較的あるという意味である。

また同程度の硬さの丹波系天然砥石にあるような白い霞み具合を再現している。
鋼の感じもこの硬さの天然砥石によく見られるような白っぽい感じで、地金では分かりにくいですが、鋼には少し研ぎ傷はある。

いろいろな砥石の試し研ぎで砥面と切れ刃の合致性が損なわれてきてしまい、画像の鋼部分の左端の傷は少し砥面から浮きがちな為に入った傷で、幅の真ん中辺りがこの砥石の本来の状態。

マイクロスコープで拡大しての天然との違いは分からないが、使い心地と視覚的な仕上がり具合はなかなかといった印象で、砥石の硬さ的に刃の形状に対しての許容範囲も広いと予想される事から、粒度的に許容できる細かさであれば、曲線的な形状のあるナイフなどにも良いかもしれない。

誰も期待しないと思うが砥石自体はあくまで量産品であるので、砥石自体の外観に天然砥石にあるような独特の雰囲気や趣という部分は求めない方がよいだろう。



刃物を研いだ時の研ぎ汁の画像

泥の色が結構混じるが下りや研ぎ感は良好である。