石ちゃん 販売元:富士鳩



見た目も感触も木工用ボンドのようです。

実際に乾いた感じも木工用ボンドで、透明で弾力のある感じになります。
木工用ボンドと違う所は一度乾くと水に溶けないという事です。

通常砥石の養生にはカシューなどが使われますが、うすめ液での刷毛などの掃除や廃液の処理などの点で、もう少し扱いやすい物はないかと思案され、『石ちゃん』に辿りついたのだったように思います。

カシュー他の油性製品と違い、刷毛などは使用後や重ね塗りで時間を置いて使用する場合、乾く前にしっかり水洗いして水きりしておけば何度も使えます。

もちろん油性でも何度も使えますが、水で洗えるというのは相当に手軽で衛生的です。
手に付いても床や地面にポタリと落ちても、直ぐに水で流すか水拭きすればいいだけです。

但し、一旦乾いてしまうと水には溶けないので刷毛は仮りにほぐしたとしても吸水性がなくなり使い物にならなくなりますし、手に付いた物はなかなか取れなくなる上に、透明ですので手が濡れた状態では見た目は水と同化して、付着した箇所が判別できなくなります。

刷毛も手も乾燥前にこまめに洗う事さえ気を付ければ、作業後も清潔そのものです。

使用は簡易的に出来る反面やはりカシューよりは耐久力が劣り、うっかりすると剥がれたりもします。

乾燥後カシューのような硬さがないので、力ずくで割れを阻止するという事はないですが、側面から砥石層への水の浸入がなければ割れにくくなるので、そういう意味での使用となります。

多少剥がれにくくするためには、水で薄めて粘りを少なくして刷毛で塗ります。

水で薄めた場合は意外とすぐに乾きます。乾くと縮むので穴や亀裂のある砥石は、隙間が塞がらないので原液をその部分だけに盛って乾いた後で、全体に薄めたものを塗ります。

薄めたものは季節にもよるでしょうが意外とすぐに乾きます。

薄めたものを重ね塗りすると艶々になりますが、調子に乗ってやりすぎると分厚くなるので剥がれやすくなります。
剥がれても手軽なので浮いた所だけはがして上から塗ればよいですが。

青砥の鎌砥石の側面に塗った様子


カシューの方が絶対的な安心感がありますが面倒である事と、水に濡れるとやたらと滑るので、冬場などの手の感覚が鈍るときに、うっかり滑って落としそうになる恐怖があります。

石ちゃんは同じ滑るにしても樹脂っぽいので、その辺りが多少マシです。


石ちゃんは実は木に対しての方が相性が良く、木製の砥石台や更にその下に木製の砥ぎ台を置く場合など、砥石に塗る場合のように薄めて塗ってやると汚れが落ちやすく、水を吸って変形しにくくなります。

研ぎ台と砥石台の双方に『石ちゃん』を塗った場合、接地箇所はあまり滑りやすくないため、扱いやすくなります。


木部に塗った様子

上の画像は薄めた『石ちゃん』を数回重ね塗りした画像で、木部の場合の方が食いつきがよく、砥石と違い全面に塗る事ができるので、水の侵入口がなくなり更に剥がれにくくなる。

また原液よりも薄めたものを重ね塗りした方が艶やかで綺麗に仕上がる。