シャプトン 硝子砥石 #8000
(50803)


新品時 210(長さ)×70(幅)×10(厚み)研磨層5o



硬さ:37   下り:20   研ぎ感の軽さ:3〜35



硝子砥石総評

この砥石はお借りしている物で、ごく短期的な使用での感想ですので、本人的にも的確なレポートが出来ているのかは微妙です。

約5oの強化硝子に同じく5oの研磨層が張り合わせてあります。

今まで使用した感じからシャプトンの良心的な点は、寸法表示より厚みが少し余分にあるので、購入時に砥面を直してもまだ表示以上にあるように思います。
また、吸水性の砥石と違い水分を拭き取ると定規で平面を確認ができます。

吸水による軟化作用は『刃の黒幕』などと比べるとかなり減少したようである。
しかし仮に、濡れている時に砥面を修正し真っ直ぐにすると、乾燥状態では幅・丈共に中央が凹む。
乾燥状態から水をかけた直後などの中途半端な状態では一気に平面に戻っているのか、中途半端に凹んでいるのかは分かりません。

硝子部分の厚みが5oしかありませんので、市販のバイス式の砥石台などでは切り込みが5oよりも大きく、研磨層が減ってくると途中からは研ぎの際に邪魔になります。

また平面精度の為の強化硝子だと思うのですが、残念ながら個人的には薄すぎる為?の強度不足ではないかという印象です。

研いでいる最中の強度不足による変形は分かりませんが、私の手持ちの三点接地の砥石台では少し真ん中に遊びが出来るのか、この砥石台に乗せたまま砥面を修正すると、丈の真ん中が結構高くなります。もちろん二点接地でも同様の結果になると思います。

これを砥石台から外して平らな所に置いて修正すると真っ直ぐに修正できます。
同社が同シリーズで発売している専用砥石台はしっかりした造りで、三点接地で出来ていますのでそれを使えば大丈夫なのかもしれません。自分で砥石台を製作するなどしても良いでしょう。

いずれにしても個人的な希望としては、良い物は使いたいし良くない物はいらないし、砥石の粒度ごとにも好き嫌いがある場合もあるので、専用の砥石台や硝子盆などの付属品に頼らず、強化硝子まで使用して面精度を謳っている事を思えば、せめて強度は砥石単体で完結してくれている事を願いたい。

またお借りした硝子砥石の他の番手も含め、裏の硝子面にストレートエッジを丈方向にあてがうと、圧着の加減か、わざとそうしているのか分からないが、大体一定の僅かな曲線を示している。
丈方向に両端と真ん中が定規を当てると隙間がある感じである。

考えすぎかも知れないが、丁度この隙間の空く三点に、専用台の場合に寸法的にも上手く接地するという事なのかもしれない。





#8000のコメント
セラミック砥石で炉で焼かずにボンド系の物で硬化させた砥石。
#500〜#2000で紹介したような全体に白い色ではなく、薄いグレーにところどころに黒やグレーの点々がある。

#8000といっても二種類あるようで、こちらは少し軟らかめの結着剤が使用されていて、この軟らかめの方が大雑把にいうと日本刃物向きのようで50803、もうひとつが50203で主に洋刃物向きのようで、この五桁の番号で識別するようである。
詳しくはシャプトンのホームページを見て頂きたいのですが、先程書いたように結着剤の強度が弱く研磨剤の硬度が低い方がこの砥石(日本刃物向け)のようです。



下りの良い人造仕上げ砥石が多い中、下りないという事ではないが、硬さに対して下りが良いという感じはない。

研ぎ上がりは鏡面に仕上がるが、仕上がり具合となると研ぐ人や研ぎ方により差が出るかもしれない。
上手く研げれば#8000よりも細かく見える。

借り物であまり使いこんでいないので、たいして使いこなせていないが、砥面の修正直後に研ぐと、研ぎ汁も発生しやすいが、この砥石は必ずしもたっぷりな研ぎ汁が良いといえるのかは分からない。

砥面修正直後であれば、ひと通り砥面全体を満遍なく研いで修正器による砥面の荒れを均してから、砥汁を全部流してもう一度研ぎ直した方が目視では細かい刃が付くようである。

ただしあまり綺麗に平面に研いだ刃物を研ぐと、砥面の荒れが均され砥面と刃の隙間が無くなるので、砥石に強烈に刃がへばり付きほんの5o程度でも動かすのが厳しい。
画像の三点接地式の砥石台だと、砥石台ごと動いてしまうぐらい吸いついたりします。

研ぎやすさからいえば、ほんの僅かに平面でない状態が軽快で一番研ぎやすく、刃先付近を中心に研ぐ場合などは、やや抵抗感があるので前に押す際に、刃先が鈍角にならないよう注意したい。

短期間で試した限りでは平面の刃物が砥面にへばり付いた状態で、多少無理に研ぎきるぐらいが肉眼では一番細かく研ぎあがったように見える。
また、砥汁はサラリと黒いのが舞っている程度が良さそうな気がする。

平面に研ぐと強烈なへばり付きで、スライドしようとすると嫌でも力が入るので、比較的早く砥面が崩れるような気がする。
そうなると、砥面のへばりつく部分が減ってくるが、見た目の細かさはへばり付き状態より減少するので、見た目の細かさを出そうとすると、砥面修正後に刃物で砥面を均して砥汁を流した後の少しの間が勝負かもしれない。

刃物で均す以外に、もう一枚別の細かい砥石と擦り合わせても良いかもしれない。



砥面を均して砥汁を流した直後、ほどんどスライドするまでもなく、いきなり研ぎはじめから動けなくなったりする。(下画像)
研ぎ方次第では肉眼ではかなり細かい刃が付くようであるが、個人的にはあまり研いでいて楽しいという部分を見つけられないまま、借りた方に返却しました。

定価は高めの設定なのは良しとして、一般的に粒度が細かくなるほど高価になり、実勢価格では他のメーカーの同程度の粒度の砥石と比較すると、やや高級程度の価格ですが、特別硬い訳でもなく普通の砥石と同程度のペースで磨耗していくと考えると、他メーカーでは20o程度の薄さの人造砥石なら僅かにあったと思いますが、厚さ5oでは非常に高価と個人的には感じてしまう。

裏側



刃物を研いだ時の研ぎ汁の画像


この程度の砥汁ぐらいの方が研ぎ上がりが良いかも。