エビ印 化学仕上台付砥石
(A3-1)



公表値 210(長さ)×70(幅)×22(厚み)
実寸   209(長さ)×69(幅)×22(厚み)



硬さ:35   下り:30   研ぎ感の軽さ:27




まずこの砥石がかなり以前からあった物なのか、それとも割と最近に企画された物なのかは分かりません。

この砥石(A3-1)は本職大工用として企画された物らしいのですが、同名でも分類の番号が違う他の用途の刃物用も出ているようです。

大工刃物としては#4000というのは仕上げ研ぎの粒度の細かさとしては不足しているので、更に細かい物で研ぐ必要がある物が殆どですが、このシリーズはこの#4000の一種類のみしかありません。

この砥石は性能以前に個人的にはツッコミを入れたくなる所がいくつかあって、企画から販売まで相当に慌てていたのか、それともわざと突っ込み所をちりばめてくれたのかと、つい疑ってしまうのである。





こんなパッケージにはいっています。
ねっ!いかにも大工用でしょう?
何とも古びた感じの印刷とデザインですが本当にずっと以前から販売されていたんだろうか?





もはやいろいろと笑える画像であるが、この笑顔に完敗である。
何とも怪しげであるが、胸元に輝く『大八』の文字。
販売してくださったお店の方は「大工(九)になりきってないから八じゃないの?」というツッコミ(笑)
まさにメーカー側がそのようなツッコミを狙っての画像ではないかとさえ勘ぐってしまう。





箱の蓋の側面にはこのような説明書きがされています。
充分水に浸してから使用するタイプの様である・・・。





・・・って、おいっ!
充分水に浸せねぇじゃねえかっ!

それとっ!『磁石』って何?どう見考えても『砥石』だろっ!
砥石メーカーがその文字を間違えたらあかんやろ。
頼むからゴム判ぐらい造り直してください(泣)
砥石に対してこのハンコの歪み具合、機械じゃなくて完全に手で押してるんでしょう?
手押し用のゴム判なら値段も大した事ないでしょうに・・・(笑)





そして相変わらず気に入らない頼りない砥石台は剥がしてしまいます。
このように力技です。
ボンドがしぶとく結構大変でしたが何とかいけました。

真似して剥がそうという方は自己責任でお願いします。

『化学仕上台付砥石』ですが、台無しの砥石は販売されてはいないようです。





裏にはゴムともプラスチックとも分からない足が付いてまして、ボンドで固定してある訳でもないので引っ張ると取れちゃいます。





水に浸けるブクブクというほど激しくないですが、しばらく気泡が出てきます。
とりあえず気泡が落ち着くのを待ちます。



この砥石購入の狙いとしては#1000→この砥石→硬い天然砥石という工程を踏んで、効率的に研ぎ傷がきれいに消える事を狙ったものです。

実際に研いでみるとメーカーの発表ではこの砥石は#4000という事ですが、研いだ刃の研ぎ傷を見てみると#2500か3000ぐらいに見えてしまう。
研ぎ感は非常に良好で研ぎ汁は少しネットリした感じで、刃物を通して伝わる砥面の感覚では研ぎ傷の見た目に反して粒状感は感じず非常にマイルド。
この砥石の後で硬い天然仕上げ砥石に乗せると、鉋では思ったよりも傷が消えにくい感じで鑿だと幅が狭い事もあって、すぐに消えるという訳にはいかないが、まあ悪くはないという感じ。

これについては#1000の傷が消えなかったのか、この砥石の研ぎ傷が消えなかったのかは微妙ではあるが、いずれにしても研ぎ時間の短縮の為に程々の研ぎ時間で行っているので、#1000の傷が消えていないのであればこの砥石を、この砥石の研ぎ傷が消えないのであれば仕上げ砥石の研ぎ時間を少し余分に行えば消えるのであろうと思われる。

この砥石で研いだ時の見た目の研ぎ傷に対して、刃返りはなかなかいい感じの刃返り具合で、#1000の強い刃返りは程良くおちて、少しやさしい感じの刃返りが全体に残る。
マイクロスコープで見た訳ではないが、後の仕上げ研ぎで刃先を揃えやすくはなるのかもしれない。

販売して頂いたお店の方によると、包丁研ぎの仕事の際には非常にいい感じという事です。





刃物を研いだ時の研ぎ汁の画像